労働時間が一切管理されていない!労働審判の結果、400万円を得て解決
- cases861
- 2024年03月13日更新
- 40代
- 男性
- 建設業
- 残業代請求
- 労働審判
- ■職業(雇用形態) 正社員
- ■解決結果 労働審判で400万円を得た
ご相談に至った経緯
Aさんは埼玉県の小規模な建設会社の正社員で建設現場の現場監督業に従事していました。
月曜から土曜まで会社に指示された現場に朝早く出かけて夜に戻るという形の働き方でした。
この度退職されたところ、ご自分の労働時間が明らかに週40時間を超えていたにもかかわらず、残業代が支払われていなかったことから、後からであっても残業代を支払ってもらうことができるのか疑問に思い、ご来所されました。
ご相談内容
お話をお聞きしてみると、現場はその時々によって違い、東京や埼玉ばかりではなく、群馬、栃木、神奈川、千葉、山梨の場合もありました。
会社までの交通時間が30分から1時間、その上で会社から各現場までは近くて30分、遠い場合ですと2時間を超えることもざらにありました。
Aさんは、会社の指示で毎朝会社に道具を取りに行き会社の車に乗り換えて現場に向かい、仕事が終わると道具を置きに一度会社に戻りそこから自宅へ帰るという毎日でした。
建設現場ですから朝は午前8時には現場に到着している必要があり、仕事終わりは午後5時と決まっていました。また、会社はタイムカードといった労働時間を管理する仕組みを敷いていませんでした。
ベリーベストの対応とその結果
しかし、会社は労働時間を一切管理していないということでした。
また、どの日にどの現場に行ったかも、会社からは積極的に明らかにされることはありませんでした。
Aさんは週6日・一日8時間働いていましたので、少なくとも週に8時間は残業があることは明らかでした。
もっともそれ以外に、会社と各現場との交通時間も労働時間にあたるのではないかと考えました。
タイムカードもなければ、Aさんご自身も交通時間の記録は一切なく、わかるのはどの日にどこへ行ったかという事実だけでした。
そこで、地図サイトを利用して一般的な車での各現場までの移動時間を一つ一つ調べ、それを交通時間であり、会社の監督指揮下にあった労働時間であると主張することにしました。
解決のポイント
労働審判に進んだところ、実際の労働時間の記録は一切無いにもかかわらず、Aさんの労働日と就労した現場はある程度立証可能であったこと、更に朝と夜、Aさんが確実に会社に立ち寄っていた事実がAさんの話から認められ、労働審判委員会として、交通時間を一定程度は労働時間として認めるとの心証が開示されました。
その結果、請求金額から多少の減額こそありましたが、満足いく金額にて和解に至りました。
ポイントとしては、どの日にどこに行ったかをAさんが奥さんに話しており、奥さんがそれを記録していたという点があります。
奥さんがAさんの行先を書き込んだカレンダーを証拠として提出したところ、信用性が認められました。
確たる証拠があるとはいえないケースでしたが、カレンダーの存在とAさんの実直な人柄、丁寧に一日ずつのAさんの行動を推測していった立証活動が功を奏したといえます。
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