婚約破棄をする方法と破棄する時の注意点|慰謝料は請求される?
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2020年の千葉市の婚姻件数は3959件、離婚件数は1438件でした。
婚姻を結ぶ前に婚約という形式をとるケースがありますが、一方的な都合で婚約を破棄すると、婚約者である相手から損害賠償を請求されるおそれがあります。
どうしても婚約破棄をしたい場合には、まずは相手と誠意をもって話し合うことが前提ですが、弁護士を通じて交渉するのもひとつの方法です。
今回は婚約破棄をする方法や、一方的に婚約破棄をするリスクなどについて、ベリーベスト法律事務所 海浜幕張オフィスの弁護士が解説します。
出典:「千葉市統計書(令和3年度版)」(千葉市)
1、婚約が成立している状態とは
婚約には決まった方式はなく、夫婦となる者同士の合意があれば成立します。
結納や合意書などは必須ではなく、口頭の合意でも構いません。ただし、ある程度以上真摯(しんし)に合意がなされたと認められる必要があります。
- 婚約指輪を購入した
- 互いの両親への挨拶を済ませた
- 多くの友人に対して結婚することを伝えた
婚約が成立している場合、当事者である男女は、その内容に従って結婚する義務を負います。義務に反して婚約を破棄した場合には、損害賠償責任を負う可能性があるので注意が必要です。
2、婚約破棄をする方法
婚約破棄をするには、相手と誠意をもって話し合うことが基本線です。ただし、相手に不貞行為などが認められる場合には、婚約を債務不履行解除できる可能性があります。
婚約破棄に関する話し合いがまとまらない場合は、弁護士を通じて交渉することもご検討ください。
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(1)相手と誠意をもって話し合う
相手のことが好きではなくなった、性格の不一致を感じたなど、相手に否がない状況で婚約破棄をする場合には、相手と誠意をもって話し合うほかありません。結婚の決意が変わったことにつき、相手に対して真摯に謝罪した上で、今後の方向性を話し合いましょう。
相手の感情を過度に刺激してしまうと、損害賠償請求などのトラブルにつながる可能性があります。できる限り穏便に解決すべく、慎重に話し合いを進めてください。 -
(2)相手の不貞行為などを理由に婚約を解除する
婚約に関して相手の不適切な行為があった場合には、相手の同意がなくとも、婚約を債務不履行に基づき解除できる可能性があります。
(例)- 浮気
- DV
- モラハラ
相手が上記のような行為をした場合には、内容証明郵便などで婚約破棄を通知しましょう。
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(3)弁護士を通じて交渉する
婚約破棄の話し合いがまとまらない場合には、弁護士を通じて交渉するのもひとつの方法です。
一方的な都合で婚約破棄をする場合には、相手から和解金などを請求されることがあります。その場合は、弁護士が婚約破棄に関する裁判例などを踏まえて交渉することで、適正な内容による和解が成立する可能性が高まります。
相手の債務不履行を理由に婚約を解除する場合は、反対に相手に対して和解金を請求することが可能です。弁護士を通じて交渉すれば、適正額の和解金を獲得できる可能性が高くなります。
「和解金はいらないから早く婚約破棄したい」ということであれば、弁護士が迅速に話をまとめる方向で交渉を進めます。
3、一方的な婚約破棄をすると、損害賠償請求のリスクあり
婚約は契約の一種であるため、一方的に婚約を破棄すれば、原則として相手に対する損害賠償責任を負います。
ただし、相手が今後の結婚生活を台無しにするような行為をした場合は、婚約破棄につついて損害賠償責任は発生しません。
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(1)損害賠償責任が発生するケース
一方的な都合により婚約を破棄することは、結婚の合意に違反する債務不履行に当たります。この場合、相手に生じた損害を賠償しなければなりません。
具体的には、相手の受けた精神的損害についての慰謝料や、結婚準備のために支出した費用などが損害賠償の対象となります。慰謝料額については、100万円から200万円程度が標準的です。
たとえば以下のような理由で婚約破棄をするケースでは、相手に対する損害賠償責任が発生する可能性が高いです。- 相手のことが好きではなくなった
- 性格の不一致により、将来が不安になった
- 親や友人に結婚を反対された
- 別の人を好きになった
- 仕事の失敗により、結婚どころではなくなった
このような場合には、いかにして穏便に婚約破棄をするかがポイントになります。相手から何らかの提案があれば真摯に検討し、スムーズな婚約破棄の合意を目指しましょう。
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(2)損害賠償責任が発生しないケース
相手が今後の結婚生活を台無しにするような行為をした場合、婚約破棄は契約違反ではなく、債務不履行に基づく解除権の行使に当たります。
この場合、婚約破棄をした側に損害賠償責任は発生せず、反対に原因を作った相手が損害賠償責任を負います。
たとえば以下のような場合には、婚約破棄をした側に損害賠償責任が発生せず、相手から損害賠償を受けられる可能性が高いです。- 相手が他の異性と性交渉をした(浮気)
- 相手から暴力を受けた(DV)
- 相手からひどい侮辱を受けた(モラハラ)
このような場合には、相手の同意がなくても婚約を破棄できます。また、相手から損害賠償を請求されたとしても、支払う必要はありません。
ただし、相手の債務不履行を理由に婚約破棄をする場合には、相手から反論されてトラブルになるケースも多いので、弁護士に相談することをおすすめします。
4、婚約破棄を切り出す際の注意点
相手に対して婚約破棄を切り出す際には、その後の話し合いや婚約破棄後を見据えた対応を心がける必要があります。具体的には、以下の各点に注意しながら、慎重に婚約破棄を切り出しましょう。
- 相手方が納得しない場合、訴訟を起こされるリスクがある
- 婚約指輪や結納金は返す必要がある
- 婚約解消に関する合意書を締結すべき
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(1)相手方が納得しない場合、訴訟を起こされるリスクがある
正当な理由がないのに一方的に婚約破棄をした場合、債務不履行に基づく損害賠償責任を負います。この場合、基本的には相手に金銭を支払う方向で話し合うべきでしょう。
自分の都合による婚約破棄であるのに、相手に対する金銭の支払いを一切拒否したり、相手の主張に全く耳を傾けなかったりすると、婚約破棄の話し合いは難航する可能性が高いです。場合によっては、相手から損害賠償請求訴訟を提起され、トラブルが深刻化してしまうおそれがあるので十分ご注意ください。 -
(2)婚約指輪や結納金は返す必要がある
婚約破棄をした場合、婚約を前提にやり取りした金品は返す必要があります。たとえば、相手からもらった婚約指輪や、相手の両親からもらった結納金などは返さなければなりません。
自分の都合による婚約破棄の場合に限らず、相手の行為を原因とする婚約破棄の場合についても、婚約指輪や結納金などを返さなければならない点は同様です。慰謝料等を別途請求できる可能性はあるものの、婚約指輪や結納金を自分のものにすることはできないのでご注意ください。 -
(3)婚約解消に関する合意書を締結すべき
婚約を解消するに当たっては、相手との間で婚約解消に関する合意書を締結しておくべきです。
婚約解消に関する合意書を締結する目的は、主に2つあります。
1つ目は、婚約を解消した事実を明確化することです。合意書を作成すれば、それが婚約解消の証拠となるため、後に婚約を解消した・していないと意見が対立することを防ぐことができます。
2つ目は、婚約解消に関する争いを終わらせることです。
婚約解消に関する合意書には、清算条項を定めるのが一般的です。清算条項とは、契約書等で定める内容以外には、当事者間に一切の権利義務関係が存在しないことを確認する条項をいいます。
合意書の中では、婚約解消の条件(和解金の支払いなど)が定められます。それに加えて清算条項を定めておけば、当事者間で追加の損害賠償請求などが行われることを防げます。
つまり、清算条項が規定された合意書を締結すれば、婚約解消に関する紛争を終わらせることができるのです。
婚約解消に関する合意書をきちんと締結することは、その後のトラブルの予防につながります。どのような条項を定めるべきか、どのような方式で作成すべきかについては、弁護士にご相談ください。
5、まとめ
正当な理由がないのに婚約破棄をすると、婚約相手から慰謝料請求などを受ける可能性があります。トラブルの深刻化を避けるためには、婚約相手と誠意をもって話し合うことが大切です。
一方、婚約相手の浮気・DV・モラハラなどを理由に婚約破棄をする場合、婚約相手の同意は必要ありません。さらに、婚約相手に対して損害賠償を請求できます。
いずれにしても、婚約破棄をスムーズに行うためには、弁護士を通じて交渉等を行うことをおすすめします。
ベリーベスト法律事務所では、婚約破棄を含む男女問題に関するご相談を随時受け付けております。お客さまのご要望をできる限り実現しつつ、早期に男女間のトラブルを解決できるように尽力いたします。
婚約相手との将来に疑問を感じ、婚約破棄をご検討中の方は、おひとりで抱え込まずにぜひ一度ベリーベスト法律事務所 海浜幕張オフィスにご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています