面会交流のルールや条件を変更することは可能? 具体的な方法について
- その他
- 面会交流
- 条件変更
千葉市のデータによると、千葉市内における2020年の離婚件数は1438件で、前年比192件の減少となりました。
離婚協議や離婚調停などで取り決めた面会交流のルールが、家庭の事情の変化によって不適切になり、条件変更を行いたいというケースもあろうかと思います。面会交流の条件変更は、協議や家庭裁判所の調停を通じて行うことができます。
適正な条件変更をスムーズに行いたい場合には、協議や調停の代理人を弁護士にご依頼いただくことをお勧めいたします。この記事では、面会交流の条件変更に関するルールや手続きについて、ベリーベスト法律事務所 海浜幕張オフィスの弁護士が解説します。
1、一度決めた面会交流の条件でも、変更できる
離婚後に子どもと同居しない親(非同居親)が、子どもと面会してコミュニケーションをとることを「面会交流」と言います。
面会交流の方法については、離婚協議や離婚調停などを通じて、以下のような事項を取り決めておくのが一般的です。
- 面会交流の頻度
- 面会交流の場所
- 面会交流の際に行う活動
- 子どもと直接連絡をとることの可否
しかし、子どもが成長したり、家庭の状況が変わったりして、離婚時とは適切な面会交流の方法が変化することもあります。
その場合、協議や家庭裁判所の調停・審判により、面会交流の方法を変更することができます。
2、面会交流の条件変更を行う方法
面会交流の条件変更は、まずは協議によって行います。
親同士が直接協議を行う場合と、代理人(弁護士)を通じて協議を行う場合の2つに分かれます。
もし協議が調わない場合は、家庭裁判所で行われる調停・審判の手続きによって、面会交流の条件変更が検討されることになります。
-
(1)当事者間の協議
円満に面会交流を実施していくためには、親同士が話し合ったうえで、納得できる条件を取り決めることが望ましいです。
そのため、親同士の関係性が良好であれば、まずは当事者のみで協議を行ってみるのが良いでしょう。
面会交流の条件変更に関して、親同士の協議をまとめるためのポイントは、
● 各自の希望を忌憚なく述べること
● 相手の希望にも耳を傾けること
の2点です。
自分の思っていることは率直に伝えつつ、独善的にならずに相手の希望も尊重することが、お互いの納得できる解決につながるでしょう。 -
(2)代理人を通じた協議
親同士が直接協議を行うと、それぞれが自分の意見を強硬に主張した結果、感情的な対立が発生し、物別れになってしまうケースも少なくありません。
親同士での協議がまとまる見込みが立たない場合は、弁護士を代理人に選任して、代理人を通じて協議を行うことも有力な選択肢です。
客観的な立場にある弁護士を通すことで、ご自身の主張を冷静な形で相手に伝えることができます。
その結果、相手との間で建設的な話し合いができるようになり、協議によって面会交流の条件変更に合意できる可能性が高まるでしょう。
また、相手の強硬な態度・圧力に負けそうになっている場合には、なるべく弁護士に協議を任せることをお勧めいたします。
弁護士に依頼して協議の矢面に立ってもらうことで、精神的なストレスが軽減されますし、相手の理不尽な要求を受け入れてしまうこともなくなります。 -
(3)家庭裁判所の面会交流調停・審判
面会交流の条件変更に関する協議がまとまらない場合に備えて、家庭裁判所には「面会交流調停」という手続きが用意されています。
面会交流調停では、調停委員が双方の親から事情を聴き、お互いが納得できるような解決策を模索します。
また、調停には家庭裁判所調査官が立ち会い、心理学・教育学的観点からも、適切な面会交流の方法に関する検討が行われます。
裁判官は、家庭裁判所調査官の報告書も参考にしながら、双方の親に対して調停案を提示し、同意するかどうかを確認します。
双方の親が調停案に同意すれば、調停は成立です。
一方、双方のうちどちらかでも調停案に同意しなかった場合には、調停は不成立となります。
この場合、調停から「審判」の手続きへと移行し、家庭裁判所が総合的な見地から、面会交流の方法についての判断を行うことになります。
審判の内容が確定すれば、その内容に従って、面会交流の方法が変更されます。
3、相手からの面会交流の要求は拒否できる?
子どもと同居している親(同居親、親権者)が、相手(非同居親)から面会交流に協力するよう要請を受けた場合には、正当な理由なく断ることはできません。
-
(1)面会交流は親の権利でもある|原則として拒否できない
親子同士の面会交流は、親と子ども双方の権利と解されています(面会交流権)。
非同居親にとっても、子どもとの面会交流は法律上の権利ですので、同居親が正当な理由なく、非同居親と子どもの面会交流を妨げてはなりません。
したがって、非同居親からの面会交流の要請は、原則として拒否できないのです。 -
(2)例外的に面会交流の要求を拒否できる場合
ただし、面会交流の方法は、親同士の協議で定めることが原則とされています(民法第766条第1項第1文)。
面会交流をいつ、どのように実施するかについては、親のスケジュールなどに応じて、協議により調整しても構いません。
離婚当時に決めたルールが絶対ではなく、協議による柔軟な変更が可能ということです。
したがって、非同居親が同居親に対して、
「ルールに従って必ずこの日に子どもと会わせろ!」
と要求する権利があるわけではなく、あくまでも親同士の協議によって、適切な面会交流の日程等を定めることが期待されます。
また、面会交流の方法は、子どもの利益を最優先で考慮して決定しなければなりません(同項第2文)。
よって、面会交流が子どもの利益に反すると認められる場合には、同居親が非同居親からの面会交流の要求を拒否することもできます。
同居親が、非同居親の面会交流の要求を拒否できる場合の例は、以下のとおりです。- 非同居親が子どもに対して暴力や虐待をしていた場合
- 非同居親が社会的な問題行動を起こしている場合
- 非同居親が同居親に対してDVを行っていた場合
- 非同居親が面会交流のルールを恒常的に破っている場合
- 子が非同居親との面会交流を拒否している場合(特に、年齢がある程度以上に達している場合)
4、面会交流の条件変更について弁護士ができるサポート
面会交流の条件変更を目指す場合には、弁護士へのご依頼をお勧めいたします。
面会交流の条件変更に関して、弁護士ができるサポートの主な内容は、以下のとおりです。
-
(1)面会交流条件の交渉方針に関するアドバイス
面会交流の条件は、家庭の状況に応じてケース・バイ・ケースで決定すべきものです。
しかし、最終的に家庭裁判所の調停・審判を利用する場合には、裁判官から提示される調停案・審判の内容は、ある程度事前に予測することができます。
弁護士は、家庭裁判所の調停・審判で示される結論の見込みを踏まえて、面会交流の条件変更の交渉に臨む際の方針をアドバイスいたします。
法的な相場観を踏まえて交渉を行うことにより、相手から不合理な条件を押し付けられることがなくなる点が大きなメリットです。 -
(2)代理人として相手と交渉する
弁護士は依頼者の代理人として、面会交流の条件変更に関する相手との交渉を、全面的に代行いたします。
特に、相手との関係性が悪化している場合には、相手と顔を合わせるのも嫌だというケースがあるかもしれません。
その場合、弁護士にご依頼いただくことで、精神的なストレスは大きく軽減されるでしょう。
また、相手の強硬な態度や圧力に屈して、不本意にも不合理な条件をのんでしまうといった事態も避けることができます。 -
(3)面会交流調停・審判に代理人として出席する
弁護士は、家庭裁判所で実施される調停・審判の手続きにも、依頼者の代理人として出席します。
家庭裁判所の手続きと聞くと、難しそうで身構えてしまう方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、弁護士を代理人として伴っていれば、調停・審判の手続きにもスムーズに対応できるので安心です。
また、調停委員や裁判官に対して、弁護士が依頼者の主張を説得的に伝えることにより、有利な形での解決を得られる可能性が高まります。
5、まとめ
面会交流の条件は、親同士の協議によって適宜変更することができます。
親同士の間で協議がまとまらない場合は、代理人弁護士を通じて協議を行ったり、家庭裁判所の調停・審判手続きを利用したりすることも可能です。
家庭裁判所の調停・審判では、子どもの利益を最優先に考慮しつつ、さまざまな事情を総合的に考慮したうえで、面会交流の方法に関する調整が行われます。
裁判官や調停委員を味方に付け、より有利な解決を目指すためには、弁護士へのご依頼がお勧めです。
ベリーベスト法律事務所には、離婚事件を豊富に取り扱う弁護士が多数在籍しております。
離婚を目指す方や、離婚後に相手とトラブルに発展し、解決策を模索している方は、ぜひ一度ベリーベスト法律事務所へご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています