任意整理ができる条件と、メリット・デメリットを解説
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令和3年度(2021年度)に千葉市に寄せられた多重債務相談は82件でした。
任意整理は債務整理の方法としてはもっとも手軽なものですが、だれにでもできるわけではありません。また、任意整理にはデメリットもあるため、他の債務整理手続きを選択すべき場合もあります。弁護士に相談したうえで、どのような方法で債務整理を行うべきかを、適切に検討しましょう。
本コラムでは、任意整理ができる条件や任意整理のメリット・デメリットなどをベリーベスト法律事務所 海浜幕張オフィスの弁護士が解説します。
1、任意整理とは?
任意整理とは、債権者と交渉を行って債務の負担を軽減してもらう手続きです。
まず、任意整理の概要を解説します。
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(1)任意整理=債権者と交渉して債務負担を軽減する手続き
借金や利用料金などの債務は、債務者が債権者に対して期日どおりに支払う義務を負います。
しかし、収支の悪化や突発的な出費・浪費などにより、債務の支払いが困難になってしまうこともあります。
任意整理は、債務の支払いが困難となった債務者を救済する債務整理手続きの一種です。債権者との間で利息・遅延損害金のカットや返済スケジュールの変更について交渉して、合意できれば債務負担が軽減されます。 -
(2)任意整理と自己破産・個人再生の違い
債務整理には、任意整理のほかにも自己破産や個人再生などの方法がります。
自己破産と個人再生は、いずれも裁判所において行われる手続きです。
自己破産では、破産者の財産を処分して債権者への配当に充てた後、残った債務全額が免除されます。
個人再生では、債権者が決議し裁判所が認可する再生計画に従い、大幅な債権カットが行われます。
任意整理の特徴のひとつが、自己破産や個人再生とは異なり裁判所を通さずに行えるということです。
そのため、任意整理は他の手続きに比べて簡単かつ柔軟な形で行うことができます。
ただし、自己破産や個人再生に比べると、任意整理では債務の大幅な減額は認められにくいことに注意が必要です。
2、任意整理ができる条件
任意整理を成功させるためには、利息と遅延損害金のカットや返済スケジュールの変更について、債権者の同意を得なければなりません。
以下では、任意整理を成功させるために必要となる条件を解説します。
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(1)3~5年以内に元本を返済できる見込みがある
任意整理後は、残った元本を3年から5年程度で完済するのが一般的です。
この期間内に元本を完済できる見込みがない場合は、債権者が任意整理に同意する可能性は低いでしょう。
これまでの返済実績や収支の状況などを示して、3年から5年程度で元本を完済できる見込みがあることを示すことで、債権者に同意してもらえるように説得する必要があります。 -
(2)安定した収入がある
債権者にとっては、任意整理を認めるかどうかを判断する際には、「債務者の収入」にとくに注目することになります。
会社員や公務員などであれば安定した収入があるため、任意整理が認められる可能性は高いでしょう。
一方で、無職やフリーターや一部の自営業の場合には、収入が安定しないことから元本の完済見込みについて債権者の信用を得られず、任意整理が認められないおそれがあります。 -
(3)具体的な返済計画を示すことができる
任意整理の交渉を行う際には、債権者に対して具体的な返済計画を示すことが重要です。返済計画の内容が合理的かつ現実的なものであれば、債権者も「元本の完済見込みがある」と判断して、任意整理に同意しやすくなります。
返済計画を立案する際には、収支の状況を細かく分析したうえで、返済に回せる金額を適切に計算する必要があります。
また、返済額の計算結果を踏まえたうえで、債務の減額や返済スケジュールの変更を合理的に提案することが大切です。
弁護士のサポートを受けながら、債権者を説得できるような返済計画を立てましょう。
3、本当に任意整理をすべきか? 任意整理のメリット・デメリット
任意整理には、債務者にとってメリットがある一方で、デメリットもあります。
本当に任意整理をすべきかどうかは、メリットとデメリットの双方を比較検討したうえで、適切に判断する必要があります。
以下では、任意整理のメリットとデメリットをそれぞれ解説します。
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(1)任意整理のメリット
任意整理のメリットとしては、以下のような点が挙げられます。
① 手続きが簡単
任意整理は裁判所を通さずに行うため、煩雑な書類の準備などが必要なく、手続きが簡単です。
② 財産が処分されない
自己破産などとは異なり、債務者の財産は処分されないため、家や車なども手放さずに済みます。
③ 対象とする債務を選べる
自己破産や個人再生とは異なり、任意整理の対象とする債務は、債務者が選ぶことができます。
親族や友人からの借金や、親族や友人が保証人になっている借金を対象外とすれば、迷惑がかかることを避けられます。
④ 周囲の人に知られにくい
自己破産や個人再生とは異なり、任意整理をした事実は官報公告されないため、自分から言わない限り、周囲の人に知られる可能性はほとんどありません。 -
(2)任意整理のデメリット
任意整理のデメリットとしては、以下のような点があります。
① 元本の減額は認められにくい
任意整理では利息や遅延損害金の免除が認められる一方で、元本の減額は認められにくいため、自己破産や個人再生よりも多くの債務を支払わなければならないことが多いです。
② 債権者の同意が必須
任意整理によって債務負担を軽減するためには、債権者の同意が必須です。
これに対して、自己破産については債権者の同意は不要であり、個人再生については多数決の原理で再生計画が決議されます。
そのため、債権者の態度によっては、任意整理よりも自己破産や個人再生の方が有利な場合があるのです。
③ 個人信用情報機関に事故情報が登録される(ブラックリスト入り)
任意整理をした事実は、個人信用情報機関に事故情報として5年間程度登録されます。
事故情報が登録されている間は、原則として新規ローンの借入れやクレジットカードの利用などができません。
4、任意整理について弁護士に相談すべき理由
借金などの支払いが苦しく、任意整理を検討している方は、まずは弁護士にご相談ください。
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(1)任意整理をすべきかどうか適切に判断できる
任意整理には、先述したようなメリットとデメリットの両方が存在します。
そのため、任意整理によって期待した効果が得られるかどうかは、債務者の状況によって異なってきます。
債務整理を検討する際には、任意整理だけでなく、自己破産や個人再生についても選択肢として考慮すべきです。
場合によっては、任意整理ではなく自己破産や個人再生を選択したほうが効果的に債務負担を軽減できることがあります。
専門家である弁護士なら、債務整理の手続き選択に関して、債務者の状況に照らしてもっとも効果的な方法をアドバイスすることができます。 -
(2)貸金業者からの取り立てが停止する
弁護士が債務整理を受任した際には、すべての債権者に対して受任通知を発送します。
消費者金融などの貸金業者は、弁護士から受任通知を受領して以降、原則として債務者に対して直接取り立てを行うことができません(貸金業法第21条第1項第9号)。
貸金業者からの取り立てに悩んでいる方は、弁護士に依頼して受任通知を発送してもらうことで、取り立てのストレスから解放されます。 -
(3)債権者との交渉を一任できる
弁護士は、任意整理に関する債権者との交渉を全面的に代行いたします。
弁護士が合理的な返済計画を立案したうえで、「債権者にもメリットがある」と示して交渉することで、任意整理の成功率が高まります。
また、債権者と直接交渉する必要がなくなるため、時間・労力や精神的な負担が軽減される点も、弁護士にご依頼いただくことの大きなメリットです。
借金の返済負担が苦しく、任意整理をしたいとお考えの方は、お早めに弁護士へご相談ください。
5、まとめ
任意整理に成功すると、簡単な手続きで借金などの負担を軽減できます。
ただし、任意整理を行うためには、債権者の同意を得る必要があります。
元本を3年から5年程度で完済できる見込みがなければ、債権者の同意を得ることは難しいでしょう。
債権者の信用を得るためには、収入と支出の状況を分析したうえで、合理的な返済計画を示して債権者を説得することが大切です。
任意整理を行う際には、弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士であれば、任意整理を含めた各種の債務整理手続きのなかから、もっとも効果的な手続きを提案することができます。
また、受任通知の発送によって貸金業者の取り立てが止まるほか、債権者との交渉についても弁護士が全面的に代行することが可能です。
ベリーベスト法律事務所では、債務整理に関するご相談を承っております。
任意整理・個人再生・自己破産・過払い金請求など、幅広い手続きに対応いたします。
借金の返済が苦しくなった方は、適切な債務整理手続きを選択して実施するために、まずはベリーベスト法律事務所にご連絡ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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